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更新日:平成23年3月15日
静岡淡水魚研究会の会員らによって近年行われた静岡県の全県にわたる魚類調査で、静岡県の河川や湖沼から50科171種・亜種等の魚が記録されました。巴川で現在までに記録された魚類は32科83種ほどですので、全県のおよそ半分ですが、比較的小さな水系の魚種数としてはかなり多いといえます。
巴川水系では絶滅危惧種は3種、準絶滅危惧種は1種、要注目種は14種が記録されているわけです。私どもはこれらの絶滅危惧種を絶滅させぬよう、また他の魚を絶滅危惧に追いやらぬように河川や池沼の環境の保全に配慮する必要があります。 ◆ホケドジョウ
体長5㎝ほどの円筒状のドジョウ科の魚です。ドジョウよりかなりふと短く、4対の口ひげのうち1対が鼻孔から出ています。体色はうすい褐色で暗褐色の小さい斑点が散らばっています。丘陵近くの小川や湧水の流れの中にすんでいます。主食は水生昆虫などの小動物です。本種の生息場所は日本全国で狭まっており、絶滅が危惧されています。環境省のレッドリストでは絶滅危惧ⅠB類、静岡県中部では同ⅠA類にあげられています。 ◆メダカ
体長3cmほどのメダカ科の小魚。背びれは体のかなり後方についていて、尻びれは長い。上から見ると頭部から背にかけて黒色の縦帯が目立ちます。これらの特徴は外来種のカダヤシと区別するのに有用です。繁殖は春から夏にかけて行います。川の下流域や小川、池沼などに生息する日本の代表的な淡水魚ですが、各地で急激にその数を減らし、日本全体で絶滅危惧Ⅱ類、静岡県中部では類絶滅危惧ⅠA類に記載されるほどになってしまいました。 ◆チワラスボ
体長15cm未満のハゼ科の周縁魚です。体はウナギ型で細長く、腹びれが吸盤となっているのでハゼ類であることがわかります。背びれも長いですが1基あるだけです。退職は灰紫色から赤褐色で、口は大きく、外から鋭い歯がのぞけます。河口域のやわらかい泥の中にもぐって生活しています。泥底でも、泥が固くしまっていたり、ヘドロが堆積したところにはすんでいません。生息条件がこのようにごく限られているため、たくさんある静岡県の川の中でも、本種が生息できる環境をもった川はごく少ないのです。 ◆アユカケ
体長25㎝ほどの回遊性のカジカ科の魚です。頭部が大きく、鰓ぶたの後端に4本のとげがあり、最も上方のとげはかぎ状に上に曲がっています。体には鱗がなく、体側に3本の黒色の斑紋があります。中流域の大きな岩のかげにかくれて生活し、幼時は水生昆虫などを食べますが、大きくなるとアユなどの魚類を食べるようになります。秋が深まると成魚はしだいに川を下り、川の出口近くの海で繁殖します。冬に海で産まれた幼魚は初春に川を上ります。肉質は上品で唐揚げなどで食べると非常にうまい。一時数がいちじるしく減り絶滅が心配されたのですが、近年はやや回復傾向にあるようです。 |
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