生きものは生まれてからおとなになるまでの間に発育し、成長します。成長とは、たんに体が大きくなること、発育とはさらに形の変化もともなうときに使います。魚は生まれてからおとなになるまでに次のような発育の段階を過ごします。
各段階では魚の種類ごとに決まった形態をもち、決まった生態を示します。その一覧を下に示しておきました。卵からかえり、仔魚(しぎょ)、稚魚(ちぎょ)と成長していくわけですが、ウナギなどのように卵からふ化したあと、レプトケファルス幼生と呼ばれるごく未熟な段階を過ごしてから変態して、稚魚段階にあたる幼ウナギとなるものもあります。カダヤシのように卵を産まず、交尾して仔魚(しぎょ)を産むことを卵胎生(らんたいせい)といいます。
・仔魚期 | : | 卵からふ化したあとすべての鰭(ひれ)が完成するまで |
| | 前期仔魚期:ふ化後から卵黄がなくなるまで |
| | 後期仔魚期:卵黄がなくなってから鰭が完成するまで |
・稚魚期 | : | 鰭が完成してから鱗(うろこ)が完成するまで |
・未成魚期 | : | 鱗ができてから最初の成熟を迎えるまで |
・成魚期 | : | 最初の繁殖以後、繁殖能力をもっているあいだ |
・老魚期 | : | 生活能力・繁殖能力がおとろえた時期 |
魚の名前についてですが、鮎(あゆ)という魚を生物学的に表現するときにはアユと書きます。カタカナで書くのは日本の共通の呼び名である標準和名であることを示します。世界共通の言葉としてはラテン語によってPlecoglossus altivelis altivelisとつづります。これを学名といいます。アユは静岡では古くから「アイ」と呼ぶ人が多かったようで、この呼び方は地方名(方言)となります。また「ハヤ」の呼び名は静岡県の内外でオイカワという魚のことを指しますが、この魚がいない地域ではアブラハヤのような魚を指すことが多いようです。オイカワはまた雌雄で形や色彩がちがい、成長し婚姻色があらわれた雄魚に対してはとくに「ジンジパヤ」の名もあります。
また地方名では、スズキやボラのように成長とともに呼び名が変わる魚も少なくありません。このような魚を出世魚(しゅっせうお)と呼んでいます。たとえばボラではキラ・キララ、スバシリ、ニサイ、イナ、ボラなどと変わります。
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