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更新日:平成23年3月15日
静岡市の郊外にある麻機遊水地は、以前はアシやガマの繁茂する沼地でしたが、巴川を氾濫させ、大きな水害をもたらした昭和49年(1974)の七夕豪雨以後、多目的遊水地へと整備が進み現在に至っています。 遊水地事業により、開水面が増えたこともあって、多くの野鳥が集まるようになりました。 また、静岡県の代表的なバードウォッチングの場所として、県内はもちろんのこと、全国的にも有数な探鳥地になりました。日本野鳥の会静岡支部では毎月1回、この地で探鳥会を開催し、既に180回を超えています。 日本では、約600種の野鳥が確認されていますが、静岡県内では390種が記録されています。遊水地では今までに200種以上が確認されており、1か所で見られた野鳥の種類としては非常に多く、自然の豊かさを証明しています。 遊水地の鳥たちの代表はなんといっても水鳥です。カワセミやバン、カイツブリ、サギ類は1年中見られますし、夏はコアジサシが渡来しオオヨシキリがさえずります。 |
かわせみ |
春と秋の渡りの時期にはシギやチドリの仲間が羽を休めます。 しかしなんといっても遊水地は、冬が一番賑やかになる季節です。冬鳥として渡ってくるオナガガモやヒドリガモなど10種を超えるカモたちが池沼を彩ります。 ここ数年はコハクチョウも越冬しています。コウノトリが越冬し、多くのバードウォッチャーで賑わったこともありました。 ただそんな賑やかなカモたちも平成10年(1998)の1600羽をピークとして、年々減少傾向にあり、ここ数年は最盛期でも600羽ほどです。 |
ケリ |
この原因は、大きくは地球規模の温暖化や環境汚染と考えられますが、遊水地では、開水面の減少がその原因の一つと考えられます。 ハスやアシの繁茂による水面の減少は、泳ぎまわるカモたちにとっては住みにくくなっているようです。 人工的に改変してきた遊水地で、野鳥を含めた動植物との共生は、やはり人の手で保護、管理していく必要があります。 将来にわたり遊水地が野鳥の宝庫として、また県民に親しまれる場所として保全していくために、県民の英知が必要です。 (三宅 隆) |
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