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七夕豪雨
気象の解説(鈴木秀雄氏(元静岡地方気象台予報官)
静岡県付近は梅雨前線の影響で6月27日頃から雨の日が多く、静岡市では6月28日、7月2日には1日に50mm以上の雨が降り、更に4日から5日には100mmを超す大雨が降った。
図は、豪雨前の7日9時の地上天気図である。東シナ海を北東進した台風第8号が、7日になると対馬海峡を通り朝鮮半島南部へ進んだ。また、梅雨前線は日本海から北陸を通り愛知県から遠州灘沖をへて更に東南東へ延びていた。
7日6時の富士山レーダーを見ると、幅30km位の帯状の雨雲が梅雨前線に沿うように北陸から紀伊半島にあり、名古屋レーダーで細かく見ると所々に雲頂高度6,000mを超す強い雨雲の塊が観測されている。
午前中から静岡県西部では雨が降り始めていたが、7日14時の名古屋レーダーでは強い雨雲の一部が静岡と愛知の県境に現れ始め、15時頃から静岡県西部で雨足が強くなり、所々で1時間に10mmを超すようになった。名古屋レーダーで18時頃から強い雨雲が静岡県西部に移動し、これと同時に19時までの1時間に佐久間町で34mm、天竜市の熊で54mmと非常に強い雨が降り始めた。
静岡市では、7日10時45分に雨が降り始め21時までに22mmと特に強い降りではなかったが、強い雨雲がかかり始めた21時すぎになって突然バケツをひっくり返したようなものすごい雨が降り始め、第3図に示すように8日4時まで7時間も連続して豪雨が続いた。
この間の降水量は444mmを観測し、平均の1時間降水量は63.4mm、最大の1時間降水量は84.5mmとなった。その後、雨の勢いは弱まったが、やっと雨の降り止んだ8日7時55分までに508mmという9時~9時の雨量としては静岡地方気象台開設以来の記録的な大雨となり、文字どおりの集中豪雨に見舞われた。
この集中豪雨は静岡県の平野部から山間部の境界付近で起こり、特に静岡市付近で500mmを超える豪雨となった。