2016年12月27日 更新 |
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田子の浦港は、駿河湾の最奥部に位置し、富士山麓の南を流れる沼川と潤井川の合流点に建設された掘込式港湾であり、昭和33年に静岡県総合開発計画に基づく駿河湾臨海工業地帯の拠点として建設に着手し、同36年に供用開始しました。同39年に重要港湾、工業整備特別地域整備促進法に基づく工業整備特別地域に指定され、地域経済の成長とともに工業港として順調に発展してきました。
田子の浦港には、豊富な工業用水を活用した製紙、化学工業等の製造業、また、石油配分基地、セメントサイロ等が多く立地しており、同港はこれら企業の原材料の供給港として重要な役割を担うなど、国際海上輸送網及び国内海上輸送網の拠点として重要な役割を果たしています。
田子の浦港は掘込式により築造された港湾であり、地理的な制約から、新たな港湾関連用地の確保や船舶の大型化に対応するための施設整備に支障をきたしています。製紙原料であるチップやパルプ輸入の半数以上を本港の西約30kmに位置する清水港に依存するなど、田子の浦港で荷役するのに比べ、余分な陸上輸送費用が嵩む状況にあり、これらを解消するため、港湾空間の利用を高度化し、円滑で効率的な物流機能を確保することが強く求められています。
また、環境に対する市民の意識が高まる中で、港湾における環境・景観への配慮、地域住民の憩いの場としての親水空間の形成が求められており、さらには、港湾や河川などの公共水域におけるプレジャーボート等の放置艇対策の推進や大規模地震発生時等の緊急物資輸送など、港湾に対する要請が多様化してきています。
このため、物流・生産機能の拡充とともに多様化する港湾への要請にも適切に対応していくため、「産業活動を支える物流機能の高度化」と「市民生活向上への寄与」を目標に掲げ、平成20年代前半を目標年次とし、港湾計画を改訂するものです。
近年の船舶の大型化と背後産業の物流需要に対応するため、中央地区に田子の浦港の主要貨物である米穀類・チップ等を取扱う水深12m岸壁2バースを既定計画通り位置づける。これにともない狭隘な背後地の荷捌き用地を最大限に有効活用するために、荷役の効率を高める。
近年の油槽船の大型化に対応するため、鈴川地区に水深7.5mドルフィン1バースを計画するとともに、老朽化した施設を再編し、船舶間の保安距離を確保するため、水深5.5m岸壁3バースの危険物取扱施設を計画する。
大規模地震災害時の緊急避難及び緊急物資輸送のみならず、産業活動維持のため、耐震強化岸壁として中央地区水深12m岸壁1バース及び富士地区水深6.5m岸壁1バースを計画する。
環境に対する市民意識が高まる中、景観への配慮や、市民の憩いの場としての親水空間の形成が求められて、富士山や駿河湾等の美しい景観を活かした親水空間の創出を図るため、富士地区に既定計画のシンボル緑地6.9haを含む8haの緑地を計画する。
また、フェリーの航路変更に伴い既設フェリーふ頭を多目的な公共ふ頭に利用転換し、イベント時等には、新規に計画する背後の緑地と一体的に交流空間として活用する。
5.平成13年度以降の変更等