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猛暑続きの毎日ですが、皆さまお元気でお過ごしでしょうか。
全国各地でそれぞれが、電力会社ごとの節電目標値にストレスを感じつつ、また、この国の電力政策の将来に危惧を感じながら、暑苦しく、うっとうしい日々を送っているといったところでしょうか。
さて、この8月5日(日)には、海と陸の交通拠点の整備として、それぞれ県が進める、御前崎港コンテナクレーンの更新の完成と、地域高規格道路「金谷御前崎連絡道路」大沢インターチェンジの立体交差化の完成を祝う式典が、合同で開催されました。(別添写真参照)
御前崎港は駿河湾の湾口部にあり、古くから付近を航行する船舶の避難場所として利用され、港湾法に基づき、昭和11年に避難港、昭和26年には地方港湾、そして昭和50年には重要港湾に指定されるという発展を見せてきました。
この間、地方港湾の時代の砂利、砂、水産品等の取り扱いから始まり、昭和40年代に入ってからは住宅投資等による外材需要の急増に対応して、清水港を補完する形で外国産木材を輸入する港として、飛躍を遂げました。
その後、こうした港勢の進展に伴い昭和50年には重要港湾に指定され、県中西部における物流、産業開発の拠点として多目的な利用を目指した計画の下に、着々と施設整備が進み、昭和3年には、多額の投資が必要なコンテナクレーン(ガントリークレーン)が未整備でも貨物の荷役が可能なRORO船による定期航路が開設、平成9年からは完成自動車の輸出が始まるなど、港の利用拡大が大きく進んできました。
平成16年にはコンテナクレーンを備えた国際物流ターミナルが供用を開始し、現在は、東南アジア・インド・パキスタン航路および中国航路が就航しています。
こうした中、県では近年のコンテナ船の大型化や、御前崎港の取扱貨物量の増加に対応するため、同港に設置されている2基のコンテナクレーンの更新を行い、そのうちの1基(新2号機)が昨年4月に完成し、もう1基(新1号機)がこのたび完成したのです。
今後の御前崎港の発展が大いに期待されます。
実は、私は今回の式典で、時間の都合があって、御前崎港管理事務所のコンテナクレーン更新の事業と、この後に紹介する私ども島田土木事務所の大沢インターチェンジ立体交差化の事業について、併せて工事報告をさせていただいたのですが、その準備の中で1つ発見がありました。
というのは、クレーンの更新により能力が向上したことの紹介で、「1時間当りのコンテナ取扱個数が、これまでの約28個から約33個へと能力が2割向上し、5万トン級の大型コンテナ船の荷役も可能となった。」という部分があるのですが、その説明の中では、取扱個数に“約”をつけなければならない、それは、コンテナ船の積載面積は広いから積む場所が手前と奥ではかかる時間が異なり、風が強い中では作業効率が落ちるなどのためで、表現としては平均値で、“約”をつけて示さざるを得ないというものです。
私はこのことを御前崎港管理事務所の担当者から聞いたのですが、一般に何気なく聞いていることの中に、専門家の思い入れがしっかり詰まっているのだと、改めて感心しました。
また、式典の中では、ある来賓の方が、「この港では最初、中古のコンテナクレーンを2基設置して使ってきたが、いつ壊れるかわからない中古品を設置するというのは信じられなかった。このたびの2基の更新は当然のことで、今後、如何に利用を促進する方策が打てるかということこそが最重要だ。」という趣旨のお話をされました。
私は、少し前までのわが国における大量消費時代の反省や、中古品利用(リユース)は経費節減にもなることから、そんなに非難されるべきものかと一瞬思いましたが、ポイントは、お客様(荷主や船主)に利用していただく施設が信頼のおけるものでなければ、お客様は他の港を選んでしまうよということにあると、すぐに気付きました。
自分が一人で、あるいは家族や友人などと一緒に使うものであれば、仮に故障しても少しの我慢や笑い話で済みますが、厳しい環境の中で企業競争にさらされ、無駄を極限まで省こうと日々努力されているお客様にとっては、そのような信頼性に欠ける中古品利用は信じ難いということでしょう。
「金谷御前崎連絡道路」(別添写真及びルート図参照)については、このページでも既に何度かご紹介し、当事務所ホームページの「主要事業のいま」でも、情報更新しながら紹介していますが、今年3月に先行して完成した菅山(すげやま)インターチェンジの立体交差化に続き、このたび大沢インターチェンジの立体交差化も完成しました。
この道路の、富士山静岡空港から御前崎港までの22kmが一連でつながっている中で、これまで、両インターチェンジにおいては、暫定的に主交通も信号のある平面交差点を通過していたことから、これらを立体交差化したものです。
これらの立体交差化が完成したことにより、東名相良牧之原インターチェンジから御前崎港入り口の地頭方インターチェンジまでがノンストップで走行できるようになり、この間の所要時間は、この道路「金谷御前崎連絡道路」が整備される前のルートを使った約35分から、概ね半分に短縮されました。なお、この所要時間も、赤信号にかかるか、かからないかの違いや、通行時間帯による交通混雑状況の差異により変動があるので、上述したクレーンの能力と同様に“約”がつきます。
そして、ここに挙げた約35分は、この道路が整備され始める前のデータが無いため平成23年1月に実走行計測したものですが、その時点で既に、この道路の西萩間インターチェンジから地頭方インターチェンジまでがつながって利用されていたため、昔のルートを通っても、昔の交通量の大部分は新しいルートに移って混雑度が小さくなっているために、主要時間は単独ルートの時代に比べてかなり短く計測されたと考えられます。すなわち、この道路の整備による真の時間短縮効果は、上述したよりも大きなものであると見込まれます。
このように非常に大きな効果をあげている当道路の、今後の展開はどうなるのでしょうか。以前のこのページでも紹介しましたが、ポイントは2つです。別添ルート図をご覧ください。
1つには、新たなルートが唯一未接続である、富士山静岡空港入り口の倉沢インターチェンジから国道1号菊川インターチェンジまでの3.3kmを一日も早くつなぐこと、2つには、ルートが現道利用となる国道1号島田金谷バイパスの4車線化を急ぐことです。
このうちの、倉沢インターチェンジから国道1号菊川インターチェンジまでの区間は、事業名称を国道473号バイパス「金谷相良道路Ⅱ」として、昨年度から事業を進めており、現在、貴重な用地のご提供をお願いする皆さまをはじめとした地域の皆様への計画説明や、皆様との意見交換を重ねています。地域の皆様のご理解をいただき、早期完成に向けて事業を推進していきたいと考えています。
また、国道1号島田金谷バイパスの4車線化につきましても、国土交通省や地元島田市当局のご理解とご尽力をいただき、国により今年度から事業が始まっており、現在、新大井川橋の4車線化に係る調査・設計が始められたところと伺っております。
これらの事業が完成したとき、新東名・空港・東名・御前崎港と、まさに陸・海・空の広域交通ネットワークの形成が強固なものとなり、当地域はもとより、県全体に及ぼす直接・間接の効果は、計り知れないものとなります。
一日も早い完成に向けて、全力を挙げて取り組んでいきたいと考えています。
皆さまにも、ご理解と、強力なご支援、ご協力をお願いします。
今回は、このたび完成式典が催されました2つの事業に関して、お話をさせていただきました。
猛暑の毎日です。皆さまにはくれぐれもご自愛ください。
それでは、またお会いしましょう。
平成24年8月7日
島田土木事務所長 渡邉 良和