4-6 1994年米国開拓局局長ダニエル・P・ビアード氏による「米国におけるダム建設の時代は終わった」との発言があったが、日本のダム建設の状況はどうか。
米国と日本では気象、地理、社会、経済などの諸条件が大きく異なっており、水資源事情を単純に比較することは出来ません。1980年以降ダムの建設が減った理由は
1.ある程度十分な水資源が確保された
2.ダム建設適地の減少
3.建設費の高騰
4.連邦政府の予算削減
であると考えられます。しかし、1997年5月に発行されたアメリカ大ダム会議(USCOLD:US Committee on Large Dams)の報告に「1997年初頭にアメリカで建設中の大ダムは40基である。」と記載されています。ダム建設が完全にストップした訳ではなく、地方自治体は都市用水供給のためのダムを建設し、陸軍工兵隊や地方自治体は洪水調節用ダムを建設しています。 一方、日本の川は、気象的、地理的な条件が異なっており、最大流量と最小流量の差が大きく、人間が使っている水の利用量は、最小流量をはるかに上回っており、水を貯めておくダムの必要が高いと考えられます。 また、米国と比較して、日本のダムの貯水容量は18分の1程度しかないのが現状です。