平成23年3月15日 更新 |
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森林には雨水を地中に浸透させ、ゆっくりと流出させる保水機能(「緑のダム」と呼ばれる機能)があります。
わが国は、世界でも北欧諸国等に次ぎ森林面積率が高い国(2000年時点で64%)であり治水計画はこうした森林の保水機能を前提に計画されています。
森林は中小洪水に一定の効果を発揮するものの、治水計画の対象となるような大雨時には、森林域から降雨がほとんど流出することが観測結果からわかっています。
従って、必要な治水機能の確保を森林の整備のみで対応することは不可能です。また渇水時には、森林は自分の育成のために土壌の水分を吸い上げるため、河川の流出量が減ってしまうことが知られています。
日本学術会議答申(平成13年11月「地球環境・人間生活にかかわる農業及び森林の多面的な機能の評価について(答申)」においても、森林の多面的な機能について評価する一方で、森林の水源涵養機能(洪水緩和機能等)の限界について指摘しています。
日本学術会議(H13.11答申)より抜粋
流況曲線上の渇水流量に近い流況では(すなわち、無降雨日が長く続くと)、地域や年降水量にもよるが、河川流量はかえって減少する場合がある。このようなことが起こるのは、森林の樹冠部の蒸発散作用により、森林自身がかなりの水を消費するからである。
治水上問題となる大雨のときには、洪水のピークを迎える以前に流域は流出に関して飽和状態となり、降った雨のほとんどが河川に流出するような状況となることから、降雨量が大きくなると、低減する効果は大きくは期待できない。このように、森林は中小洪水においては洪水緩和機能を発揮するが、大洪水においては顕著な効果は期待できない。
あくまで森林の存在を前提にした上で治水・利水計画は策定されており、森林とダムの両方の機能が相まってはじめて目標とする治水・利水安全度が確保されることになる。
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