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昨年度、当事務所で静岡焼津線の災害復旧事業に尽力し、今年度、岩手県釜石市にある沿岸広域振興局土木部に震災復興支援で派遣されている職員がいることから、鈴木交通基盤部長らと共に先週訪問してきました。
その宇佐美嘉則主査は、大槌町の大槌川水門と小槌川水門の建設を担当していて、部長に進捗状況を説明してくれました。(写真⓪中央)
⓪説明する宇佐美嘉則主査
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私は、2011年3月11日(金)に起こった東日本大震災の1週間後に、交通基盤部6名とくらし環境部の建築士1名の7名で構成された県の先遣隊の一員として約1週間岩手県に入り現地調査等を行いました。
東北自動車道も一般車両は途中から通行止めでしたが、緊急車両の指定を貰っていたため、12時間ほど掛けて岩手県庁に入りました。夜の8時頃、盛岡市内に着いた印象は、道路照明灯や街灯が灯っていないのでやけに暗いが破損しているビルや構造物があまりなくて、本当に大地震が起きたのか信じられない気持ちでした。盛岡市などの内陸地は、相応の被害も多かったのですが、それよりも津波に見舞われた沿岸の地域は、内陸地とは比べものにならないほど悲惨な状況でした。
それを肌で実感したのは、翌日釜石市に向かう道路を走っている時でした。津波が押し寄せた境界線がはっきり判別でき、その境界線を境に天国と地獄ほどの差が生じていたのです。釜石駅前は車が横転していたり、泥や物が散乱しているのに、そのすぐ近くのスーパーマーケットは通常営業しており、食料品を求める市民が多数来ていました。そのスーパーだけを見れば、活気のある店だなと思うのですが、ちょっと目を海側に向ければものすごい光景が飛び込んでくるのです。
釜石商店街の田丸スポーツ店(写真①②)近くを歩いていた時、地元の方から「どこから来たのですか」と聞かれ、「静岡からです」とお応えすると、「ご苦労様です」と言われました。添付の写真を見ても分かるように、人に感謝の気持ちを伝えられるような状況ではないはずなのに、なんて強い方々なのだろうと思いました。
①(H23.3)釜石市田丸スポーツ店 ②(H23.3)釜石市県道4号線アーケード
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山田町役場の正面と屋上から撮影した写真(③④⑤)ですが、山田町も隣の大槌町と同じように津波による火災が発生したため、津波被害に加えて火事による延焼もあって、現地に到着した時、1週間以上経過しているにも関わらずに漂う焦げ臭さにびっくりしました。さすがの私も第2次世界大戦のB29空爆は経験がありませんが、爆弾を落とされた時には、こんな悲惨な状況になってしまうのかも知れないと思ったことを覚えています。
③(H23.3)山田町役場正面 ④(H23.3)山田町役場屋上より1
⑤(H23.3)山田町役場屋上より2
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6年半後の釜石市はすっかりきれいになり、田丸スポーツ店も同じ場所で営業されていました。あの状況から今日までの復興にかけた苦労と努力は計り知れないと思いながら、活気を取り戻しつつある街並み(写真⑥⑦⑧⑨)を見ると嬉しく思います。一方、隣が空地になっているのを見るとまだまだなのかなと思わざるを得ませんし、ほんの少しだけ本音を言わせてもらえれば、復興に力一杯頑張って来られた方々の努力に敬意を表しつつ、新日鉄釜石のラグビー部が景気よく何連覇かをしていた古き良き時代に訪れたことがある人間からすると、綺麗になりすぎたかなと思ってしまいました。しかし、時代は替わり、人の考え方も変わっていきます。またこれから新しい釜石を創っていけば、そこからまた良き時代が生まれるのだと思います。
⑥(H29.10)釜石市田丸スポーツ店 ⑦釜石市県道4号線
⑧ラグビーW杯ののぼり ⑨Kamaishi PIT
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山田町も見てください。前回の写真と同じ構図で撮りたかったのですが、屋上には上れず、途中の踊り場からの写真ですが、街の復興に向けた
⑩(H29.10)山田町役場より ⑪(H29.10)山田町役場より
⑫(H29.10)山田町役場より
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11月16日追記
上述したとおり訪問した際には、山田町役場の屋上には上れなかったのですが、今年度から山田町役場へ派遣されている八木秀幸主査より屋上からの写真を送付していただきました。③④⑤を対比してみると復興の進み具合がよくわかります。今後も震災復興を応援していきたいと思います。
⑬(H29.11)山田町役場正面 ⑭(H29.11)山田町役場屋上より1
⑮(H29.11)山田町役場屋上より2
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今月の「若手のことば」は面白いですよ。是非ご覧ください。
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平成29年10月23日
島田土木事務所長 石垣 俊幸