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梅雨期を迎え、今年は太平洋岸の地域では例年と比較して多くの降雨量が観測されているとの気象情報を耳にします。
この季節は水稲をはじめ多くの作物に豊かな雨を恵んでくれますが、時に厳しい自然現象によって私たちの生活に大きな災害をもたらすため、河川や道路の管理においては特に警戒が必要な時期となります。
前回は当所が管理する道路の延長が約616km(東海道・山陽新幹線では東京駅から西明石駅までの距離に相当)あることを紹介しましたが、今回は河川や土砂災害危険箇所のお話をさせてもらいます。
当島田土木事務所管内の河川といえば、何といっても一級河川大井川が有名ですが、その延長は約318.6kmにもなります。「一級河川」とは、特に重要な河川として国(国土交通省)が管理を行う河川ですが、大井川の上流域については国からの委任を受け県が管理しています。
このように、県が管理を委任されている一級河川と県が管理する二級河川を合わせると、当所の管理河川延長は約426.6km(東海道新幹線では東京駅から米原駅付近)にもなります。
この時期、河川の出水に備えた河川パトロールや市町の水防団と協力して水防演習等を実施しています。河川は「治水」機能を有するものであり、大雨による洪水から私たちの身を守る大切な施設です。河川の機能を守るためには、ルールを守って河川を利用する必要があるのです。
河川の洪水と同様に、この時期に用心しなければならないのが土砂災害です。
土砂災害とは、土石流やがけ崩れ、地すべりによって住宅等に直接被害をもたらすものです(斜面の崩壊で道路等が被災するものは含まれません。)。
このような土砂災害のおそれがある箇所(「土砂災害危険箇所」といいます。)を県で調査しており、県内には約1万5千箇所あります。当所管内は中山間地域も広く、土砂災害危険箇所数が2,019箇所もあります。
県では砂防えん堤やコンクリート擁壁等による対策工事を実施していますが、まだまだ全ての要対策箇所に工事(ハード対策)が実施できていないのが実状です。
土砂災害への警戒については、危険箇所数が非常に多く、場所が住宅の裏山等に広く分散しているために、“自主避難”等による自助・共助が重要となります。
6月の全国土砂災害防止月間にあわせ、私たちは急傾斜パトロール等による施設の点検を行うとともに、市町が実施する土砂災害防災訓練に参加して、早めの避難を呼びかける等のソフト対策を推進しています。
梅雨期から台風シーズンにかけて、自然災害への警戒が特に必要です。日頃から備えることにより、大きな災害が無いことを願っています。
土砂災害防災訓練での避難訓練の様子
平成26年7月1日
島田土木事務所長 杉本 則尚