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市町との円卓会議と2つの意見交換



 
 島田土木事務所長 渡邉 良和  
  • ※写真は5月23日に藤枝市で行われた円卓会議の様子です。(起立して挨拶をしているのが筆者)


 時季外れの風邪が流行っているようですが、皆さま、お元気でお過ごしでしょうか。
 5月も下旬となりましたが、雨の日こそ少ないものの、さわやかな五月晴れにはなかなかめぐり合えず、気分も今一つといったところでしょうか。
 この時期の土木事務所は、昨年度から年度をまたがって継続執行されている繰越工事や債務負担工事の管理(*注)、新年度の予算の配分を受けて新たに執行する事業箇所の測量調査や工事の発注作業、用地の取得に向けた地権者の皆様との交渉、あるいは公共施設の占用や使用の申請に対する許可などの事務と、忙しい毎日が既に始まっています。
  (*注)繰越工事や債務負担工事とは何かについては、平成24年3月14日のこのページをご覧ください。

 

◆市町との円卓会議
 さて、そのような毎日の中、5月18日~5月31日の間に、当事務所管内の4市2町の首長や幹部の皆さまと私どもとで、市町ごとに円卓会議が行われています。この文章を書いている時点で既に4市1町が終了していますが、今回も有意義な会議となっています。
 この円卓会議は今年で4年目になりますが、その発足の経緯は以下のとおりです。
 平成21年度国予算に対して当時の大阪府橋下徹知事が、「国が実施する事業(直轄事業)の経費の一部を地方(都道府県や政令指定都市)に負担させているが、その負担金の使途や算出根拠について十分な説明がないのは、ぼったくりバーと同じだ。納得ができるまで支払わない。」という行動を起こしました。
 地方が国直轄事業の負担金を支払うことは、地方財政法第17条の2が根拠になりますが、国の対応が十分ではないと、橋下知事の発言を受けて全国の多くの知事が協調し、負担金の廃止や縮減が国と地方との間で大きなテーマとなったのです。
 その後、国は毎年、当年度の事業内容を地方に説明することをルール化するとともに、それまで負担金の対象としていた事務費や施設維持管理費を負担金対象から外すという見直しを行い、現在はその形で落ち着いています。
 そして、この議論が、都道府県が実施する事業費の一部を市町村が負担していることにも波及し、本県においては、県と市町村とで地域ごとに「円卓会議」を開催し、相互に意見交換をする中で、国と同様に事務費の負担金が廃止されたのでした。なお、本県では従前から、施設維持管理費については負担金をいただいていませんでした。
 こうして現在は、建設事業費のみが負担金の対象となっているのですが、その負担金については、①負担金をカットしていけばその分だけ事業費が減少し、現在実施している事業箇所の完成年度が遅れたり、新規事業箇所の着手時期が遅れたりすることにつながる。②建設事業は完成後に利便性が向上するのだから、受益者負担はある程度やむを得ないのではないか。などの意見が多く出され、廃止にはつながっていないのです。

 

市町との意見交換
 上述した円卓会議はその経緯から、主に、負担金をいただいている事業についての県からの概要説明とそれに対する意見交換を行いますが、私どもの事務所に関連するそのほかの施策全般も意見交換の対象となります。
 今回の意見交換においては、例年通り、各市町から今後の主要な道路網の整備予定に関する質問や要望が例外なく出されているほか、沿海部の市からは、昨年3月11日の東日本大震災を踏まえた本県の今後の津波対策、内陸部の市町からは、新東名高速のインターチェンジやパーキングエリアを活用した今後の地域振興に向けた取り組みの話題、および中山間地域における、すれ違えない道路の改善や落石、崩土などに対する安全性向上などの要望が出されました。
 道路網整備や中山間地域道路の課題解決は、公共事業費予算が極めて乏しい中でなかなか明るい見通しにはなりにくいのですが、地域の満足度を上げるために乏しい予算をどう使っていけばいいのか、県民・市民目線での優先整備箇所の判断を市町の皆様との意見交換により客観的に行っていくことが、非常に意義のあることと考えています。
 また、本県の津波対策は、現在、国や県が行っている検討業務を経て、平成25年6月には中長期的な対策をアクションプランとして公表し、順次実行していくこと、新東名の活用については、各地区(市町)で土地利用計画を作成し、その後、必要に応じて土地利用規制を緩和する特区の申請に向けて、県内関係市町が連携して行動していく必要があることを確認し合いました。
 このような意見交換は、私どもの事務所が特に力を入れている“県民目線の施策判断”に不可欠であるとともに、私どもと市町当局との連携強化につながり、双方の、より効果的・効率的な業務の遂行につながっていると感じています。

 

◆榛南クラブにおける講演と意見交換
 5月24日には、榛原郡南部の建設業者の若手技術者を中心に組織される「榛南クラブ」から要請を受けて、講演に行って来ました。
 講演のテーマは、「建設業の今後の展望と島田土木事務所管内のインフラ整備」で、平成23年11月4日に静岡県建設業審議会から知事に答申された「静岡県建設産業ビジョン」と、今年度の静岡県の入札・契約制度を紹介するとともに、津波対策の今後の予定や4月14日に開通した新東名に関する情報、地域高規格道路「金谷御前崎連絡道路」の現状と今後の予定、さらには私どもの事務所が特に力を入れている県民への情報提供、県民との意見交換の取組みなどを説明しました。
 会員の皆様は実に熱心に聴講してくださりましたが、それにも増して、その後の意見交換も非常に有意義なものとなりました。
 意見交換では、説明した内容に対するご質問やご意見をいただいたほか、会員の皆様の、自分たちが有事の際には地域を守っていかなければならないという強い自覚に基づいた、地震・災害時における私ども発注者との連携の強化や、施工業者としての体制強化を図らなければならないという意識をバックに、内容の濃い意見交換ができました。また、体制強化につながる研修やBCP作成に対する支援の要請もありました。会員の責任感と積極的な姿勢に、とても心強いものを感じました。
 そして、その意見交換を受けて、私どもとしても、当然、速やかに対応しなければならない事項も生じました。1つには、災害が多発し、国・県・市町などから同時にそれぞれの施設に対する復旧要請がきた場合は、どれを優先すべきかの調整、2つには、災害時には、普段、発注者・受注者間の連絡に使われている電話やメールなどが不通となる可能性もあることから、そのような場合には業者の判断で自主的に復旧作業に着手できるような仕組みを作っておくべきというものです。1つ目の案件については、国・県・市町相互の合意形成も必要です。
 これらは非常に重要かつルール化が急がれる事項であり、単独の事務所で取り組むべきものではないため、早速、本庁の担当部署に検討を依頼したところです。早期の対応が期待されます。

 

今回は、市町や建設関係団体の皆様との意見交換の様子を紹介してみましたが、私どもは常に、多くの皆様からご意見を頂戴し、より客観的に施策の優先度を判断して業務を進めていきます。皆さまも、気軽にご意見をお寄せください。

 

それでは、次回まで、皆さまお元気でお過ごしください。

 

                                        平成24年5月25日
                                           島田土木事務所長 渡邉 良和