麻機遊水地の自然
麻機湿原
植物たち
静岡市は、気候は表日本型で暖帯に属していますが、冬には浅い沼地が氷結する日もあるため、多年草でも地上部が枯死します。遊水地で1年を通じて観察できる草本植物は、セイヨウタンポポなどごくわずかです。
これまでの調査では種子植物とシダ植物あわせておよそ550種確認されていますが、そのほとんどは草植物(木本はヤナギ類をはじめ20種程度)です。第2次世界大戦後、急速に増加した帰化植物が裸地に侵入し、いっそう種類と個体数を増やしたようです(全体の約30%)。 加えて、稲作をやめたあとに繁茂した背丈の高いヨシやガマが、遊水地のシンボルとされるミズアオイと、ヤナギヌカバ、ミズニラ、オオアブノメなど絶滅が危惧される14種をはじめ、美しい花をつけるサクラタデ、オモダカなどの生存を危うくしています。 生存競争は自然界の法則ですが、種の多様性はできるだけ保持したいものです。
静岡土木事務所河川改良課では「麻機遊水地の自然-シリーズ2植物」のパンフレットを制作しました。詳しくは右側のバナーをクリックして下さい。
野鳥たち
静岡市周辺では一番の野鳥の宝庫です。これまでに観察、記録された野鳥は200種類を越えています。湿地に生息する鳥が多く、年中見られる鳥から季節によって移動する渡り鳥まで、多くの野鳥たちがこの遊水地に集まってきます。
代表的な鳥のうち、年中見られる鳥は、サギ類、ケリ、カイツブリ、バン、カワセミなど。春から夏にかけては、夏鳥のオオヨシキリやヨシゴイなど。秋には渡りの途中のノビタキやシギの仲間たち。冬は北から渡ってきたカモの仲間たちが翼を休めていきます。
時として珍しい鳥も現れます。平成8年(1996年)冬にはコウノトリが越冬し、日本中から多くのバードウォッチャーが訪れました。
昆虫たち
昆虫では、冬を除いて多くの種類が観察できます。多いのはトンボです。イトトンボ、ヤンマ、アカトンボ類など今までに45種類記録されています。トンボ以外では、チョウ類が40種、バッタ類、テントウムシ、セミ類なども観察できます。水中には、タイコウチやヒメミズカマキリ、ガムシの仲間などの水生昆虫も 生息しています。
遊水地は昆虫観察に適した場所です。ヤナギ類の植樹により、昆虫の森も育てています。
淡水魚たち
魚類は、池沼に在来種のギンブナ、モツゴ、ヨシノボリ類が生息しますが、外来種のカムルチー、ブラックバス、ブルーギルが多く、在来種の生存が心配されています。巴川にもギンブナ、オイカワ、ドジョウ、ボラなど多くの種が生息しています。
また、巴川に流れ込む小川では絶滅が心配されているホトケドジョウやメダカが少数ながら生息しており、注目されます。甲殻類では、スジエビ、テナガエビ、モクズガニなども生息しています。
周辺地図・交通アクセス
- バス利用の場合
JR静岡駅前、北口バスターミナルより静岡鉄道バスにて、こども病院線「こども病院(麻機)」行、"こども病院"で下車。
所要時間は約30分です。 - 自家用車の場合
巴川と浅畑川の合流点に駐車場(約5台)があります
湿原にはできるだけ公共交通機関を利用してお越し下さい