◆覚えておきたい
“地震から命を守るための方策”と、心がけたい“日頃の備え”
当日は、表彰式に引き続いて島田建設業協会による技術者研修がありました。「工事の安全対策」と「建設工事における労働災害の事例と防止対策」について、県の工事検査課倉橋検査監と島田労働基準監督署片岡主任監督官からそれぞれお話があった後、「東海地震から命を守ろう」というテーマで、静岡県地震防災センターの地震防災アドバイザー郷隆志氏の講演がありました。
この“地震から命を守るための方策”の中で、私が今まで十分には理解していなかった事項がいくつかあり、特に重要と思ったものを皆さまにご紹介します。なお、私の記憶に基づく紹介ですので、さらに幅広く、正確な知識を得るために、是非一度、静岡市内にある静岡県地震防災センターを訪問されることをお勧めします。
私が特に印象に残った事項は以下のとおりです。
① 東海地震では激しい揺れが1分以上続くと想定される。揺れている間は歩くことや這って移動することがままならないため、津波が3分後には到達すると見込まれる清水地区などでは、(3分-1分=)2分しか避難時間がない。しかも、まず間違いなく停電となり、暗闇の中、割れたガラスや落下物などで雑然とした室内を、足を傷つけたりしながら避難しなければならない。
だから、停電時に点灯する非常灯と、開かなくなった窓ガラスを壊すためのバールやハンマーの用意と、通路が塞がれないための家具などの転倒防止が必要で、さらに、仮に一部のドアや窓が開かなくなった場合にも迅速な行動ができるよう、普段から避難行動のイメージトレーニングを繰り返しておくこと。
② 阪神・淡路大震災の避難所でのアンケート調査(神戸市民840名の聞き取り)によれば、救出・救助に当たったのは60.5%が近所の住人、18.9%が家族、2.4%が救助隊、その他が3.8%、無回答が23.4%であった。近所との日ごろのお付き合いが極めて重要。
③ クラッシュ症候群に要注意!クラッシュ症候群とは、倒れた家具などに挟まれて
動けなくなり、助けられた後に、半日位までの間に突然、死に至るもので、その原因は、挟まれて血流がなくなった部分に猛毒の物質が生成されるなどして、圧迫が解放されたことによりそれが体内を巡ることによるもの。阪神・淡路大震災で372名の患者の発生を見たが、それ以前は医師の間でもあまり知られていなかった。
この予防対策は、まず第1に家屋の耐震化や家具類の転倒防止により重量物の下敷きになることを防止すること。もし下敷きになってしまった場合は、解放後20分以内に救急車を呼んで透析をしてもらうことと、バケツの容積規模の大量の水を飲んで、猛毒物質を体の外に排出するしかない。